『紀尾井論叢』第10号が発刊されましたので、お知らせいたします。
上記論考の質的・実証主義的な緻密さは、前号までと比べても決して引けを取るものではなく、近年減少傾向にあった日本史分野からの論考のみから成る点は、むしろ新鮮さを感じさせます。しかし、学内紀要『紀尾井論叢』の趣意でもある収録論考の多彩という視点でみると、やはり内容の偏重は自認せざるを得ません。また、院生数の減少や他専攻との没交渉気味な昨今の情勢下、ほとんど史学専攻の院生の独占的な「受け皿」となっている本紀要が果たして“論叢”たり得るのか、あるいは旧前の『紀尾井史学』の態を成しているのではないかと思惟・自省するばかりです。
今後とも、『紀尾井論叢』が史学領域全般、あるいはそれを超越した研究領域を志す上智大学大学院生諸氏の研究発表の場を提供すること、そして所産の研究成果が諸氏の研鑽の糧となり、学界への更なる寄与に繋がることを期して、試行錯誤しつつ、編集委員一同、引き続き活動に邁進して参ります。
(文責:第10号編集長・竹山瞬太)
収録内容は下記の通りです。